投資比較

現物不動産 vs REIT、どちらから買う?資金額×目的×手間で決める進め方フロー【2026年版】

著者: サム(会社員エンジニア・FX Bot開発・投資実践者)

はじめに(免責)

この記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。記載している数値や制度は2026年時点の一般的な目安であり、市況・税制改正・個別の条件によって変わります。投資成果には個人差があり、元本割れの可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。税務の取り扱いについては、必ず税理士などの専門家にご確認ください。

「現物不動産か、それともREITか」。不動産投資を考え始めた方の多くが、この二択でしばらく立ち止まります。本記事では、その二択を一度ほどき、自己資金・目的・手間の3変数で「どちらからどの順で買い進めるか」を絞り込む進め方を整理します。個別の項目をどちらが上かを6つの軸で詳しく比べたい方は、現物不動産とREITの徹底比較記事もあわせてご覧ください。本記事はその先の「では、自分はどう動くか」を扱います。

1. 二択思考で止まると損しやすい理由

「現物 vs REIT」と並べた瞬間、私たちは無意識に「どちらが優れているか」を決めようとします。ところが両者は、そもそも役割が違います。

  • 現物不動産: 物件そのものを保有し、家賃収入と売却益を狙う。借入を使ったレバレッジがかけやすい一方、まとまった自己資金と管理の手間がかかります。
  • REIT(不動産投資信託): 証券取引所に上場し、数万円程度から購入できます。分配金を受け取りつつ、いつでも市場で売買しやすいのが特徴です。

つまり、両者は「どちらが正解か」ではなく、性質の異なる道具です。二択で止まってしまうと、本来は「少額のうちはREITで経験を積み、資金が育ったら現物も検討する」といった段階的な進め方ができるのに、その入口で足踏みしてしまいます。

ここで強調したいのは、最初から両方を持つ前提に組み替えるという発想です。比率はゼロでもかまいません。重要なのは「今の自分にとってどちらの比重を高めるか」を、感覚ではなく次の3変数で決めることです。

なお、現物とREITの中間に位置する選択肢として、不動産クラウドファンディングも拡大しているとされています。1万円前後から特定の物件に少額出資できる仕組みで、現物の手触りとREITの手軽さの間を埋める存在です。こちらは不動産クラウドファンディングの比較記事で詳しく扱っています。

2. 判断を分ける3変数の自己診断

進め方を決める前に、まず自分の現在地を確認します。次のチェックリストで、3つの変数について「自分はどこに当てはまるか」を確認してください。

変数1: 自己資金(投資にまわせるお金)

  • 100万円未満:すぐ動かせる余剰資金がまだ少ない
  • 100万〜500万円:頭金や少額の集中投資を検討できる
  • 500万円以上:複数物件やローン活用も視野に入る

変数2: 目的(何のために投資するか)

  • インカム重視:定期的なキャッシュフロー(家賃・分配金)が欲しい
  • 値上がり益重視:保有資産そのものの成長を狙いたい
  • 経験・学習重視:まず小さく始めて仕組みを理解したい

変数3: 手間(かけられる時間と労力)

  • ほぼかけたくない:本業が忙しく、運用は任せたい
  • 多少はかけられる:物件探しや管理に週末を使える
  • しっかりかけられる:自分で調べ、判断し、動くのが苦でない

3つにチェックを入れたら、その組み合わせが次のフローの入口になります。注意点として、「手間をかけたくない」のに現物から入ると、管理委託費や空室対応の負担でつまずきやすくなります。手間の変数は資金以上に正直に見積もってください。

3. 資金レンジ別 進め方フロー

ここからが本題です。資金レンジごとに、目的別の「開始順序」を整理します。あくまで2026年時点の一般的な考え方であり、最適な順序は個人差があります。

自己資金インカム重視値上がり益/学習重視補足
〜100万円J-REIT → 慣れたら高配当系REITを追加少額クラファン or REITで仕組みを体験現物は資金面で時期尚早になりやすい
100〜500万円REITで土台→現物の頭金準備を並行REIT+クラファンで分散し物件目利きを学ぶ現物は「学んでから」が無理のない順
500万円〜現物(賃貸)を軸にREITで流動性を補完現物+REITを併用しポートフォリオ調整ローン活用は返済計画とセットで検討

進め方を矢印で示すと、おおむね次のようになります。

  • 〜100万円:REIT・クラファンで経験を積む → 資金を貯める → 必要なら現物を検討
  • 100〜500万円:REITで土台を作る → 物件知識を学ぶ → 条件が合えば現物へ
  • 500万円〜:現物を軸に据える → REITで売りやすさ(流動性)を補う

ここで反証を1つ開示します。「資金が貯まったら現物へ進む」という流れは一見スムーズですが、現物不動産は流動性が低く、売りたいときにすぐ売れるとは限りません。買い手探し・契約・引き渡しに時間がかかる場合があり、急な資金需要に弱い側面があります(売却にかかる期間の公的統計は未確認のため、断定は避けます)。したがって「資金が増えたら無条件に現物へ」と機械的に進めるのは避け、手元の流動性とのバランスで判断してください。

もう1つの反証です。「まずREITが安全だから初心者はREITから」という説明をよく見かけますが、これも単純化しすぎです。REITは上場している分、価格変動が日々あり、金利感応度が高いという特徴があります。一般に長期金利が上昇する局面では価格が下落しやすいとされ、「安全」と言い切れるものではありません。REITは手軽さと流動性の高さがメリットであって、値動きの安定を保証するものではない点に注意してください。

なお、現物に進む際の諸経費は「物件価格の10〜15%程度」と語られることがありますが、これは二次情報による一般的な目安とされるものです。実際には次のような費用が個別にかかります。

  • 不動産取得税:標準税率は4%で、土地・住宅は3%への軽減措置があります(令和9年3月末まで)。課税標準は固定資産税評価額です(東京都主税局の案内より)。
  • 仲介手数料:売買価格が400万円を超える場合、「価格×3%+6万円+消費税」が上限です(宅地建物取引業法第46条にもとづく告示)。

これらは取得時に現金で必要になることが多く、フローのどの段階でも「諸経費を別枠で確保する」前提で進めると無理がありません。

4. よくある失敗3パターンと回避策

進め方フローでつまずきやすい典型を3つ挙げます。

失敗パターン何が起きるか回避策
節税ありきで現物を買う損益通算の制約で想定ほど節税できず、収益性の低い物件だけが残る物件は収益性で選ぶ。節税は副次効果と割り切る
流動性を考えず現物に集中急な資金需要に対応できず、安値での売り急ぎにつながる流動性の高いREITを一部併用し換金余地を残す
「REITは安全」と過信金利上昇局面で価格が下落し、想定外の含み損を抱える値動きと金利の関係を理解し、買い値を分散する

このうち1つ目が反証の本丸です。「不動産は節税になる」という言葉だけで現物を選ぶのは危険です。確かに不動産所得の損失は給与所得などと損益通算できる場合がありますが、土地を取得するための借入金の利子に相当する部分は、損益通算の対象から除かれます(国税庁 タックスアンサーNo.1391)。つまり「節税のためにあえて赤字物件を持つ」という設計は、制度上そもそも狙いどおりに機能しないことがあります。節税は目的ではなく、収益性のある物件を持った結果として付いてくるもの、と位置づけてください。具体的な計算は税理士にご相談ください。

5. まとめ

現物かREITかは、優劣を競う二択ではありません。自己資金・目的・手間の3変数で自己診断し、資金レンジに応じて「どちらからどの順で買い進めるか」を決める——これが本記事の提案する進め方です。

  • 〜100万円:まずはREITやクラファンで経験を積む段階
  • 100〜500万円:REITで土台を作りつつ、現物の知識を学ぶ段階
  • 500万円〜:現物を軸に、REITで流動性を補う段階

ただし、「資金が貯まれば現物」「まずはREITが安全」というどちらの定石も鵜呑みにはしないでください。現物は売りにくく、REITは値動きが大きい。そして節税目的だけの不動産は制度上つまずきやすい。これらを踏まえたうえで、自分の3変数に合った順序を選ぶことが、二択で止まらないための一番の近道です。

物件タイプそのものの選び方で迷ったら、新築・中古区分マンション投資の比較記事も判断材料になります。本記事のフローと組み合わせて、無理のない第一歩を設計してください。

※本記事は2026年時点の一般的な情報をもとにした目安です。制度・利回り・費用は変動し、投資成果には個人差があります。投資判断は自己責任で、税務は専門家にご確認ください。

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